高齢者の「足のリハビリテーション」のすすめ

年齢を重ねると、「歩くのが億劫になってきた」「最近、よくつまずくようになった」といった変化を感じる方も多いのではないでしょうか。実はこうしたちょっとした“足の衰え”は、日々の生活や健康状態に大きな影響を与えます。

そこで大切になるのが、「足のリハビリテーション」です。


■ 足を鍛えることは、寝たきりを防ぐこと

足は、体を支える土台です。足の筋力やバランス感覚が衰えると、転倒のリスクが高まり、骨折やその後の寝たきりにつながる可能性があります。

特に高齢者に多い「大腿骨骨折」は、転倒によって起こることがほとんど。リハビリで“歩く力”を維持・回復することは、そのまま「自立した生活を守ること」につながります。


■ 足のリハビリって、どんなことをするの?

リハビリといっても、特別な運動をするわけではありません。たとえば…

  • 椅子に座ったままできる足の上げ下げ運動
  • ふくらはぎや太もものストレッチ
  • 立ち上がり・歩行練習でのバランス訓練
  • 足裏の感覚を目覚めさせるタオルギャザー(タオルを足指でたぐり寄せる運動)

など、シンプルで続けやすい運動を、身体の状態に合わせて行います。

また、転びやすくなる原因のひとつに「足の指が使えていない」「足関節の動きが悪い」などもあります。専門のリハビリでは、そうした細かな部分にまで目を向け、日常の中で動きやすくなる身体づくりを目指します。


■ 「歩ける」という自信が心にも良い影響を

「一人でトイレに行けた」「買い物に行ってみようと思えた」──それは、足が動くようになったという“身体の変化”だけでなく、「自分でできた」という“心の変化”でもあります。

足のリハビリは、単なる筋トレではありません。動けることで得られる生活の自由自信の回復が、気持ちの前向きさにもつながっていきます。


■ 無理せず、少しずつ。「今のあなたにできること」から

高齢者向けの足のリハビリは、「できないことを責める」のではなく、「今できることを一緒に見つけて、少しずつ伸ばしていく」取り組みです。ご本人の体力や体調に合わせ、無理のない方法で進められるのが特長です。

「この先、また転んだらどうしよう…」と不安を抱えている方にこそ、ぜひ一歩を踏み出していただきたいと思います。


おわりに

足の衰えは、気づかないうちに少しずつ進んでいきます。でも、だからこそ早めのケアが大切です。

「歩く力を取り戻す」ということは、「自分の暮らしを取り戻す」ということ。足のリハビリは、日常を守るためのやさしい一歩なのです。